【海外で仕事をする人へ】現地の人々の「考え方・特徴≒文化」を理解して仕事をしよう

多様性

タイの工場で9年働いていました。

タイの人の考え方や特徴を理解していないために多くの失敗をしてきました
日本人と同じと思わず、特徴を知って話をしなければ、自分の考えが通じません

タイは日本とは違う国です。日本人とは考え方や特徴≒文化が違います

まず最初にこの大前提を理解してください

『文化の違いを理解する』

「こんなん、当たり前やんけ。外国やから」

って、声が聞こえてそうですが、理解していない人、当たり前でない人をたくさん見てきたので書きます

そういう私も、失敗の連続でした。

「異文化コミュニケーション」が重要って、赴任者への説明としてよく聞きますが、頭でわかっていても、できていない場合もよくあります

日本語で話しかける

「そんなヤツ、おらんやろ~」って思うかもしれませんが、います

特に年配のオヤジ

日本語で説明して「指示しておきました」って平気で言う人

本当にいます

そんな日本人に注意すると

「あいつ、ウンウンってしてで~」「カップ・カップって言うとった」(カップ=タイ語でYES)

と。

確かに部分的に通じる時はありますが、簡単なことを伝えるだけならいいですが、大事な話をする場合は一方通行の指示となり伝わりません

タイの人は、分かってなくてもウンウンと反応します

それを部分的に通じたことに満足して、後で指示した人が指示通りしていなくて

「あいつ、オレの指示無視しよる」みたいなことを言います

言葉は、一番わかりやすい文化の違いです

それすら、わからない場合もあるってことです

ですので、現地の人の考え方・特徴、文化を理解して話するには相当の強い意識を持たないとダメってことです

異国の人を理解するということ

下の写真は、タイの通勤用のバスです

とっても、派手なデザインをプリントしてます

通勤時間帯にはこんなデザインのバスがイッパイはしっています

これは、QCサークル大会の模様です

一見、学芸会かと思うほど凝ってます

これは、会社主催の年末パーティです(年末に実施しますが、なぜかNew Year Party と言います。これも文化の違いです)

3時間プロのバンドの音楽に合わせて社員たちが踊りまくります

「これって、タイなんだなぁ~」って感じるシーンです

ただ、これらは目で見えるので、タイの特徴としてすぐ理解することができます

難しいのは、目に見えないこと、相手の頭の中の知識や考え方を理解することです

仕事は、この見えない知識や考え方を理解して会話しなければなりません

国による(性別・組織による等)特徴の違いを理解するときの前提

以下、「タイの人はこんな特徴があります」みたいな話をします

特徴を語る場合、あくまでその国の全員が、同じ特徴を持っているわけではなく、

下図のような分布があることは理解した上でお話を聞いていただければありがたいです

A属性を日本人、B属性をタイ人とした場合、タイの人でも日本人の特徴を持った人もいますし、

その逆もあります。ただ、全体としての傾向をお話していると思ってください

この図は属性を「性別」「年代」「組織」としても同じです

ステレオタイプに「決めつけないように」とのお願いです

マイペンライの文化

それでは、私の経験談を交えて、特徴を理解しなければ仕事が効率的に進まない事を話します

【事例1】(工場での出来事です。工場のことがわかりにくい人、スイマセン)

 ケビン   「この部品の組み立てる時間は1台何秒かかる?」

 現場リーダー 「確認していません」 

 ケビン        「計ってくれるか」  

 現場リーダー  「わかりました」

いつまでたっても、結果の報告がありません

「わかりました」と言って何もしないことは普通にあります

この事例から、わかることとして

彼らは、決して「わかりません」と言いません

これはタイ人の特徴です(タイだけではないかもしれませんが)

ですので、冒頭、日本語で指示されても「わかった」と言ってしまいす

これは、いろんな人に聞くと、学校の環境がそのようです

先生に質問してはいけないとよく聞きます

ですので、わからなくても「わかりました」言わざるを得ない

権威を重要視すると言ってもいいでしょう。日本でも、偉い人に言われてたとき

同じような行動をとってしまうことありませんか

それが、少しタイは極端です

タイのサッカー代表チーム監督の西野さんの講演を聞く機会がありました

西野さんは、ミーティングで「タイの選手がなかなか発言してくれない」と、言っておられました

「日本代表の本田や長友はどんどんいいたこと言ってくるのに」だそうです

これも、「先生には発言しない」を表しているエピソードと感じました。

さらに、わからないために、するべきことをしなくても、責任を感じることはあまりありません

理解できないことを、指示する方が悪いからです

タイには「マイペンライ」と言う言葉があります

「気にしなくていいよ」っていう意味が近いでしょうか

ただし、もう少し深く意味を確認すると、マイペンライは二つの意味があって、

一つは寛容

「失敗しても落ち込まず、前向きに考えて進もう」

という意味

もう一つは無視

「できない・わからないから、できなくてもも良い」

との考え方です。

ですので、わかりましたと言っても、できないことなら、放っておきます

先の事例で言うと、時間を計れと言われて計り方を知らなければ、自分で学ばず、放っておきます

ちなみに、この事例の現場―リーダーはストップウォッチの使い方を知りませんでした

だから時間を測れなかったのです

加えて、タイ人の特徴として「タイには普通にストップウォッチを使えない人がいる」

と言うことを理解しなければ、いつまでたっても、仕事は前に進まないですね

まぁ、これは、ストップウォッチを使えない人が現場リーダーになっているマネジメントも問題も大きいですが

掛け算が苦手、計画を立てるのが苦手

【事例2】

ケビン    「製品1台の組立が、36秒だから、1時間で100台、700台組立てには7時間、休憩時間考慮しても今日中に終われるね」

       注)指示をするとわからなくても「わかりました」と答えますので、

         質問方式にすると、その問題は少しおさえられます

現場リーダー 「・・・・・・・・」 

ケビン    「できるの? できないの?」

現場リーダー 「わかりません」  

        注)この場合のわかりませんは「理解していない」ではなく「答えられない」の意味です

ケビン   「なぜ」

現場リーダー 「わかりません」

なぜ、現場リーダーは答えられなかったのか

一つは

「製品1台の組立が、36秒だから、1時間で100台、700台組立てには7時間」

この計算ができません

もう一つは

「計画を建てるのが苦手」

だったことです

この時、私は

・タイの人は計算が苦手、60進法も苦手

・先を見て計画的に仕事をするのが苦手

ということを知りませんでした

そのため、現場リーダーに対して「なんでせんのや」と感情的になってしまいました

でも、それは、「計算が苦手」、「計画を立てるのが苦手」であることを知らない私が悪い

「計算が苦手」、「計画を立てるのが苦手」なのは、彼らが悪いのではなく、現場リーダーとして必要なスキルにもかかわらず、それを教育していない人(私含め)の責任です

「自分ができるから」、「日本の現場ではできるから」

と言って、他の国でも大丈夫と思うことが間違いです

現場リーダーとして必要なスキルを持っているかを、

①コミュニケーションの中で確認し

②スキルが不十分なら教育する

このステップを行えるぐらい現場での会話を実施しましょう

計画が苦手と言いましたが、もう少し言うと、一般的、タイ人にとって

目標は達成するものではなく、その方向性を示すもの=達成しなくても良い

とものです

これも、理解していないと彼らとの会話は全く成り立ちません

タイの人と仕事してて、いいと思うこと

タイの人の弱点を述べてきましたが、当然強味もあります

・粘り強く、決められた作業は本当に丁寧にしてくれます 

日本人ができないような作業を、完ぺきにこなしてくれます

組み立ての難しい作業や、洪水の時の彼らの献身的活動は素晴らしいものがありました

2011年のタイの大洪水の時、タイの生産品を一部、日本で代替生産を行いましたが、難しい生産は非常に効率が悪く、品質も生産性も上がりませんでした

タイの人の組み立てに対する能力を気付かされました

タイの洪水の話(3)復旧の準備・金型の引き上げ:人が動くにはリーダーと明確な方針が重要
2011年10月 私が46歳の時、タイですごい洪水があり、この時、担当していた工場も被害にあい、建物の中で約1.6m浸水しました。洪水~復旧までの経緯とその中での経験、学んだことをブログに残します。今回は元の地での復旧の決断後、最初に始めた設備発注と金型引き上げの話です

・人に優しい。とても気を使う

異国から来た我々が困ったことに対し非常に親切に対応してくれる

赤シャツ騒ぎで暴動が起きた時も、洪水の時も、自分たちも大変な状況にもかかわらず 日本人の身の安全を一番に考えてくれました

洪水の時の彼らの活躍は別のブログで書かせてもらいました

タイの洪水の話(1)工場浸水まで:日本の常識とタイの常識は違う
2011年10月 タイですごい洪水がありました。私の担当していた工場も約1.6m浸水しました。洪水の経緯とその中で経験したこと、学んだことをブログに残したいと思います。今回は洪水の情報を聞いた時から、浸水まで。

公園とかにいくと、おじいちゃん、おばあちゃんの手を取り一緒に散歩する若者たちをたくさん見かけます

なんやかんやいっても、微笑みの国です。笑顔で対応してくれます

タイを離れられない日本人がたくさんいるのも頷けます

・勉強熱心です

知識の習得にはどん欲に感じます

ただ、そのままの言葉の意味でとらえると少し誤解が入ります

トレーニングや研修、セオリーの学習はとても熱心です

でも、なぜか、先ほどのストップウォッチのような話の時、自らストップウォッチの使い方を知ろうとしません

この辺りは、未だに理解できていません

タイの人からみて日本人の理解できないこと

また、タイの人からみて日本人の理解できないこと

・何を考えているかはっきり言わない 

・すぐ、「なんでや」と理由ばっかり聞く

・日本人だけで集まって話しする

こんなところが、タイ人の信頼を得られない理由の一つかもしれません

逆にタイの人にわかりにくい日本人の行動をわかりやすくするのも重要です

まとめ

長々と書いてきましたが、

言いたいのは、その国の特徴をよく理解し、マネジメントしなければ、うまくいかないってことです

私はそれに気づくのに時間がかかってしまいました

タイ人は、方針を明確にし、具体的にやるべきことがわかれば、非常にスピーディに確実に仕事をしてくれます

洪水の時、これを強烈に実感しました

要は、上に立つ人間のマネジメントの問題です

日本人・タイ人どっちが優れているとかの問題ではありません

あくまで、考え方・特徴・文化の違いです

「タイの人は、動いてくれない」と嘆く声も聴きますが、それは、言っている当人が、正しく教え、伝えていないからです

正しく伝えるためには、相手の考えていることをしっかり聞かなければなりません

つまり伝えることとは、聴くこと」です

ただ聞くだけではだめです

「傾聴」しなければなりません

  傾聴:深いレベルで相手を理解し、気持ちを汲み取り共感すること

それをせずに、自分の基準でいくら話してもうまくいくはずがない

考え方の違いの大きい外国で仕事をすることで、私は学ぶことができました

国が変わったときだけではないかもしれません

国内でも環境が変われば普通にあることです

ただ、国が変わると、その変化が大きいにもかかわらず気づきにくい

言葉の問題もある上に、人の頭の中は見えないから

だから、失敗しやすい

ということです

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