海外現地法人で離職が多いことについて考える

異文化コミュニケーション

海外で仕事をしていると、日本人出向者から「ローカルはすぐ辞めて困る。全然育成ができん」との嘆きがよく聞こえます

この原因について、アジアでの私の経験から言うと、それは社員側の理由だけでなくマネジメントの問題も大きいです。

「ローカル社員だから」ではなく

「出向者のローカルへの指導が悪い」⇒「この会社で学ぶことがない」

「作業者として扱われる」⇒「仕事のやりがいがない」

と感じたらローカル社員は辞めていいきます

アジアでの若手社員の定着率

タイ、マレーシアの工場で長く仕事してきました(3社の経営を経験しました)

最初の赴任から、前任者や周りの出向者から「現地人はすぐやめるからな~」って嘆きをホントよく聞きます

実際、よく辞めます
(今回の記事は、主にスタッフ部門:日本でいう総合職的業務のをする従業員の話で、工場作業者はまた少し違う観点での話になります。スタッフ以上に定着は悪いです)

一般的には、就社数年で半分、7~8割やめる場合さえあります

バックグランドとして、我々の年代の日本人のような会社に対する考え方の違いは確かにあります

・会社に対するロイヤリティを持っていない=日本以外では当たり前と思った方がいいでしょう

・転職により給料増える機会が多い=日本は減る場合が多いようです

・海外からの投資や国内の成長の割に人口が増えないので再就職の機会が多い

上記の環境から、転職をしやすい環境があるのは確かです

ですが、すべての会社の社員の定着が悪いかと言うと、そうではありません

定着がよく、スキルやノウハウが積み上がり現場の競争力を高めている会社も沢山あります

会社を辞めるときの理由

会社を辞めるときの理由を聞くといろんな理由を聞かされます

・田舎に帰り両親と暮らす(これ結構多いですね)

・自分でビジネスを始める。家業を継ぐ。奥さんの仕事をサポートする

・もっと給料の高い会社に声を掛けられた(これは、イメージとしてそれほど多くないです)

・家から遠いっていうのもあります

いろいろありますが、本当のところよくわかりません

出張ベースで海外で仕事し始めたころは、

「対策ないなぁ。これを当たり前と考えて、人材の採用を考えるしかないのか」

と考えていたのですが、実際現地赴任し、現場で状況を観察するに

「あれ、なんかちゃうで」

と感じ始め、人材定着対策を考え始めました

なぜ会社を簡単に辞めるのか

現地に赴任し、感じたのが

「部門により離職率が違うぞ・・・・」

最初の赴任した会社では、経理と開発(技術者)の離職が多かったです

経理の出向者に聞くと、

「経理はスキル職能だから、他の会社からの引き抜きが多い」

とのことでした

ただ、それは経理だけでなく、JOB型雇用の意識が強いタイやマレーシアは、経理以外でも調達でも、人事、品質、物流、どの職種もその職種のプロとして雇いますから、経理がスキル職のだからと言って、引き抜きかれやすいわけではありません

ほかの職種でも引き抜かれます

ただ、開発の技術者は前任あたりから離職が減ってきていました

そこで、「離職の少ない部門」、「多い部門」、「少なくなった部門」を比較しながら少しの間、観察してみました

離職が少なくなった開発部門で気づいたのは、離職がすくなったのは前任者からで、それまでの赴任者は年配の人が多く、また英語が話せないのでローカルとのコミュニケーションが取れていない

また、離職の少ない部門はローカルの幹部多い

開発のメンバーにヒアリングすると、その前までは「赴任者はほったらかしで、仕事の仕方を全然教えてくれなかった。仕事は、日本からの若手の出張者が頼りだった」とのこと

新しい赴任者は、確かに年齢も若い設計者たちと近く、英語もある程度話せて積極的にコミュニケーションをとっていました。

もうひとつの経理部門は、トップの日本人は明らかに部下を作業者として扱い、データの集計をさせるだけで、ミスに関してのみ厳しく指導するタイプでした

当人は「なんでこんなにやめるんだ・・・」

いつも嘆いてましたが・・・

上記のように、コミュケーションが重要ではありますが、コミュニケーションをしていたら良いわけでなく、その中身が重要です

その中身のポイントとして、

1.仕事のスキルアップのために必要な知識・ノウハウを丁寧に教える

2.やりがいのある仕事を与える(単なる作業者ではなないことを意識した仕事ができるようにする)

以下、身近な例として私の経験を話させてもらいます

スキルアップのための必要な知識を教える

開発を事例にお話しさせてもらいます

以前の開発担当の赴任者は、英語が全く話せない人が多く、あまりコミュニケーションが取れていませんでした

当然、必要なスキルを教えることもできません

英語のできる比較的若い(と言っても40歳代の)赴任者になって変わってきた話をしました

この時点で、

「しっかり、スキルやノウハウを教えれば簡単には辞めない」

との仮説を持ちながらも、赴任者は部下の教育以外に多くの仕事があり、育成に十分な時間が取れない

また、ローカル同士教えあうほどのスキルはまだない、さらに教えあうカルチャーもあまりない

日本から出張でくる設計者頼頼みの育成(=断片的な教育にならざるを得ない)

という課題もありました

そこで、日本から、ローカルの設計者の平均年齢に近い若手で且つ経験のある開発者(30歳前後)を管理職としてではなく、開発者として日本にお願いして出向してもらいました

目的は、ローカルと一緒に開発をしながら教育することです

これは、大正解でした

若手にしたのは、年齢が近いこと、役職がないことによる気安さです

ちなみに、離職者が多く部門は、必然的にベテランの技術者が少ない職場になります

ローカルの技術者たちは、気楽にわからないことをその若手出向者に聞き、どんどん吸収して言っているのが分かりました

開発部門のGM(赴任者)も負担が減り、彼自身もより幅広く仕事ができるようになりました

人件費が少し負担にはなりましたが、離職者が減り、開発力が安定する方がよほどメリットあります

やりがいの仕事与える

離職者が多いときの開発の仕事は、主に日本で企画・設計したものを現地で立ち上げ上げるときの、小さな修正や現場での段取り、また、新たな仕向け地向けの微小な変更が主な仕事でした

ですので、自分たちで作りたい商品があっても何もさせてもらえない(スキルもなくできない)状態でした

そこで、経営者として覚悟を決め「君らの作りたい商品を作ってみよう」をテーマに、ゼロから商品の企画・開発、量産立ち上げをすることを決心しました

全く経験のない彼らにこれはとてもリスクのある取り組みです

通常1年でできる開発も、初めてですのでどれくらいの時間がかかるかわかりません

また、商品開発に必要な投資が無駄になるかもしれません

でも、これは、ローカル成長するには越えなければならない一つの壁として考え決めました

結果、予想通り極めてシンプルな商品に取り組んだのですが、通常の倍以上の時間がかかりました

その期間、はやる気持ちを抑えながら、気長に完成するのを待ちました

発売後の販売もそこそこ順調で、息の長い商品として継続して発売しています

この後、ローカルの社員から、どんどん新しい商品への取り組みの希望があり、職場が活気づきたのを覚えています

おかげで、定着率が良くなり、それどこれか、ここ10年近く辞める人材がいなくなったそうです

今は、「ベテランが若手を教え、若手は日本で開発商品を日本時と一緒に開発し基本を学び、ベテランは独自商品の開発を行う」

このサイクルを廻せるようになりました

結局、このサイクルを廻せるようにすることがローカル社員の離職を防ぎ、職場としての能力を高めることができると言うのが結論です

さらに、今や製造現場のない日本での設計者より、現地の設計者の方がよい設計をする場合があるという話も聞いています

まとめ

結局、ローカルの人材を定着させるには、

「学べる環境であるか」

「やりがいの仕事ができるか」

このことが大きなポイントです

ただ、これらを実行するには

しっかり教育できる人材を赴任させる

ローカル社員による現地独自の仕事させる時間とお金のリスクをトップが引き受け実施する

この2点が必要です

この点を軽視して、「離職が多い」「現地人が育たない」といくら嘆いても上手くいかないというのが私の結論です

もう一つ、

3つの現地法人を経験し、その中でも、私の赴任前に内部で昇格し、幹部として長期に働いてくれている従業員もいます

彼らと話して「周りには辞めていく社員が多い中で、なぜ辞めずに長くこの会社で頑張ってれた?」聞くと、彼ら、彼女らの答えは

「この会社に育ててもらったからです」

3人に聞いて3人とも同じ答えでした

会社へのロイヤリティが低い社会ではありますが、やりようはいくらでもあるといことではないでしょうか

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