こんにちは、ケビンダイナマイトです。
前回のブログでは、事業戦略を現場で実行するためには「組織能力の強化」が不可欠であり、そのために以下の3つの要素が必要だとお話ししました
- 経営トップの強い思い
- マインドの醸成
- スキル・知識の教育
今回はこの中から「マインドの醸成」にフォーカスし、現場の心をどう動かし、組織全体の行動をどう変えていくのかを考えてみたいと思います
トップのスローガンだけでは人は動かない
トップが「組織能力を強化するぞ!」といくらスローガンのように熱く語っても、組織は1ミリも変わりません
人間の行動には“慣性”があります
現状維持のほうがラクで安全
特に毎日忙しい現場ほど、「今まで通り」で済ませたくなるのが自然な反応です
だからこそ大切なのは、「組織能力の強化は自分たちの仕事である」と現場が納得し、自分ごととして取り組む状態をつくること
この状態こそが、「マインドが醸成された状態」と言えるのです
トップの“想い”を「伝える」だけでは足りない
よく本や研修で言われるのが、「経営トップは自分の言葉で語れ」「従業員と対話せよ」という話
もちろんこれは基本として重要です
でも、私の経験上、トップの想いを言葉で語っただけで現場が本気で動くのは、ごく限られたケース
特に中間管理職に強いリーダーがいない場合、メッセージは途中で止まり、現場には響きません
だから必要なのは、「伝える」だけでなく、
“関わる”こと。トップがどれだけ現場に寄り添えるか
が、マインドを動かす決定的なポイントになるのです
現場に寄り添うとは、活動そのものに目を向けること
「寄り添う」と言っても、ただ話を聞くとか励ますといった表面的なものではありません
大切なのは、
現場の“活動そのもの”に継続的に寄り添い関わること
現場の人たちが何に取り組み、どんな壁にぶつかり、どんな工夫をしているのかに本気で関心を持ち、一緒に考えていく姿勢が求められます
私が実践しているのは、次のようなプロセスです:
- 経営トップの方針を部門ごとに具体化(ブレイクダウン)
- 各部門が「自分たちが取り組むべき問題点(Issue)」を明確化
- そのIssueを解決するための「課題(Challenge)」を設定
- 実行計画とKPIを決め、定期的にレビュー(PDCA)
ここであえてIssueとChallengeと英語を入れているのは、
日本語の「課題」の意味として「問題」「課題」とごっちゃになって使われていることが多いと感じているから
「問題」「課題」の違いを明確にするために、IssueとChallengeの言葉を使っています
KPIは数字だけでなく、行動そのものも評価する
KPIを設定する際に気をつけたいのが、「数字だけを追わない」ことです。
活動はしっかりやっていても、環境変化などで数字が悪くなることはあります
その時に「数字が出てない=ダメ」と評価してしまうと、現場のやる気は確実に下がります
だから私は、「数字のKPI」と「行動のKPI」の両方を設定することを推奨しています
活動そのものがきちんと実行されているかを確認する指標があることで、現場も前向きに取り組みやすくなります
環境が変わろうがKPIは達成するべきという意見もありますが、それは経営者レベルに求めるべき話ではないでしょうか
マインドの醸成は、定期的なレビューで育つ
せっかく良いChallengeを設定しても、「期初に宣言して終わり」では意味がありません。
週次・月次・四半期など、Challengeごとに定期的なレビューを行うことで、活動の進捗を確認し、振り返り、次のアクションにつなげていくことができます
この繰り返しこそが、マインドを醸成する一番の土台になります
期初に「●●やります」みたいな発表してそれっきり・・・・
結局フォローするのは数字だけ・・・・みたいな
そんな光景を皆さん経験していません?
どこまで寄り添うか?バランス感覚も大事
最後にもう一点
トップがどこまで現場に寄り添うかの“深さ”も重要な判断ポイントです
すべての層に寄り添おうとすると、時間もエネルギーも足りません
現実的には、組織の構造や規模、テーマの重要度によって、寄り添うレイヤーを見極める必要があります
無理のない範囲で、しかし確実に現場とつながる
そんなバランス感覚が、マインドの醸成を持続可能なものにしていきます。
まとめ:「寄り添い」がマインドをつくり、組織を動かす
組織能力を強化するには、現場のマインドが変わることが必要不可欠です
そしてそのマインドは、トップが現場の活動に寄り添い、対話し、支えることで少しずつ育っていきます。
- IssueとChallengeの設定
- KPIの工夫
- 定期的なレビュー
- 適切な寄り添いの深さ
これらを通じて、現場が「やらされ感」から脱し、「自分ごと」として組織強化に取り組む。
そんな好循環を生み出すために、まずは“寄り添う姿勢”からはじめてみませんか?
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