現地の雇用形態について知っておこう

ものづくりの話

海外で仕事するにおいて、労働関係の法律や雇用慣習を理解することは基本のキですね

でも、勝手に日本と同じと思いこんだためにマネジメントが上手くいかない場合があるので要注意です

マレーシアがジョブ型雇用っぽい雇用形態をしていることもその一つでした

今、日本もジョブ型雇用への移行が進みつつあるようですが、マレーシアの雇用も部分的にはジョブ型雇用になっているようです

制度と言うか、従業員の意識がそうなっているって感じです

国による雇用に対する意識の違いを知る参考になればと思います

ジョブ型雇用とは

「マレーシアの雇用形態って、ジョブ型雇用かな」って感じることがあります

ジョブ型雇用とは、働く人の職務内容を明確に規定して雇用する形態のことです

事業展開に合わせて、必要な人材を労働市場から機動的に採用します

極端な場合は、その業務がなくなれば解雇される場合もあります

雇用する側のメリットとすれば、業務に最適な人材を配置しやすい

働く側としては、年功に関係なく自分のスキルにより職務、報酬が決まり、スキルのある人にとってはいい制度になります

対照的な雇用形態として、日本の伝統的な雇用形態である「メンバーシップ型雇用」になります

新卒一括採用をベースに、社員を転勤も伴うジョブローテーションを通じて時間をかけて育成、給与、職位も年功の要素が多くなります

雇用側、安定した人材確保ができ、働き手側もある程度雇用が約束されるメリットがあります

デメリットしては事業環境の変化が激しくなれば、企業のニーズと人材のミスマッチが発生します

働き手も、能力にあった報酬がもらえない場合がある等のデメリットがあります

個人的には、今後は日本もジョブ型に移行する流れは避けれない

むしろジョブ型に移行し、「安定」をある程度失っても厳しい環境で仕事をする人が報酬を得れる社会に向かう必要があると考えます

企業がそれをマネジメントできる能力を身に着けることができるかが、ポイントになるでしょう

マレーシアの雇用

上記の定義から言えば、ジョブ型と言えないのですが、日本とは異なる部分が多々あります

まず、新卒一括採用はありません

むしろ、新卒一括採用は日本だけの形態かもしれません

〇マネジメント層とオペレータ層

また、採用形態が、マネジメント層と、オペレーター層に分かれます

日本でも、総合職と一般職に分かれて採用されますから、同じと言えば同じです

大きな違いが、マネジメント層は入社時点、新卒1年目でも、労働組合には入りません

オペレーター層のみ組合員です

日本は、課長とか役職が付いてから非組合員になるケースが多いですね

それと、オペレータ層は役職が上がることは、ほとんどありません

現場リーダーまでですね

その上の役職はマネジメント層の人間がすることが多いです

ですので、製造経験のない製造職長さん、製造課長さんなどは普通にあります

逆に、50歳過ぎて60歳近い超ベテランの組み立て作業者が沢山います

マネジメント層への道がないわけではないのですが、その道を選ぶ人は極めてまれですね

この辺が日本の総合職と一般職以上のギャップを感じます

働き手から見ても、「私は作業者として雇われている」と割り切っているようで、

「人より頑張って給料増やすぞ」

てな感覚はなく、言われたことをマニュアル通りに実行する

給料は、毎年の定期昇給を確実にいただく

って感じでしょうか

ちなみに昇給は、金額でなく〇〇%昇給の場合が多く、歳を重ねると加速的に給与が増えます

ですので、ベテランさんも、作業者を続けていけるわけです

〇職務別採用

また、雇用時の職務も明確にしたうえで採用されます

ジョブ型雇用的な考え方ですね

人事で雇用された人は基本的にはずっと人事、調達なら調達

ジョブローテーションは基本ありません

本人の同意が取れれば、ありますが

日本の新卒入社ような、入社するまで何の仕事するかわからない、みたいな採用はないですね。

この辺は、マレーシアに限らずで、むしろ日本が特殊と言った方がいいでしょう

注意点

雇用に限らず、現地の労働者に関する法律や慣習など、基本的なところは意識した経営はマストなのですが、時々、勝手な思い込みで日本と同じと考え失敗しします。

私の失敗は、先ほどのマネジメントとして採用した人材は、「役職がなくても非組合員」制度を知らなかったことですね

「マネジャー(課長)以上が非組合員」という、日本での常識を「マレーシアでも同じ」と勝手に思い込んでいました

そして、「マネジメント」を雇用形態の呼び方(日本でいう総合職的な意味)と使っていると知らず、勝手に「課長以上の役職者」と理解していました

それで、人事と会話が全くかみ合わず、間違った指示した経験があります

現地の人事制度や労働法、慣習を知ることは基本の基本と分かっていながら、「勝手に日本の制度と同じ」と思い込んだ悪しき例ですね

まとめ

完全にジョブ型かと言えはそうではありませんが、マレーシアは少なくとも職種別の雇用、マネジメント層としての採用、組合員等、日本のメンバーシップ型の雇用とは異なった制度、慣習があります

マレーシアに限らず、以前赴任していたタイもまた日本と異なる法律、制度、慣習があります

マレーシアの方がタイより日本との違いが多いように感じます

海外で働く場合、人事制度に限らず、異文化全体を理解しないとダメですけどね

今回は人事制度について考えてみました

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