ものづくりに関する記事を書いてきました
その一部です
書いている私自身、現役のサラリーマンとして海外の製造会社の経営しながら実践しています
今回、今まで記事に書いてきたような考えをどのような経験をもとに自分の中で構築し、実践してきたか、自分の仕事を振り返っています
今回はその6回目
前回までの記事では、初めての海外製造会社に赴任した間に学んだことを日本に戻って実践したことを記事にしてきました
今回は、再びタイに行き、今まで全く経験のない製品の製造会社での実践です
再びタイへ
1年半ほどの短い日本での勤務を終え、一時上海で過ごし(ものづくりの仕事ではありません)再びタイへ赴任することとなりました
この時の赴任での私にとっての大きなチャレンジは、まったく知らない製品を製造する製造会社での仕事になったことです
日本帰任の時は元の職場に戻ったので、すでに人間関係があり、育った環境が一緒のメンバーでしたので、言葉も通じやすく、赴任中に学んだことを実践しやすい環境でした
しかし、今回の赴任先は全く知らない製品、製品の構造も生産工程も、さらにそこに働く人達、日本の親元の人たちも全く知りません
これは、それなりに大きなチャレンジでした
まずは言葉が通じない
作る製品ごとに部門が分かれており(事業部制)、この事業部が違うと同じ会社でも使っている言葉は違うし、同じ言葉でも意味が異なる、またその職場でしか通じない言葉も沢山ある
一番厄介なのは
同じ言葉でも意味が異なる
これでたくさんの間違った理解をして、コミュニケーションがうまく取れないことも多々あります
さらに、カルチャーの違い
設計に関する考え方、製造に関する考え方、品質に関する考え方等が微妙に異なります
お互いの考え方のベースとなる常識が異なります
これは見えませんので本当に厄介です
基本の実践
赴任先の製造会社は、非常に問題の多い低収益工場でしたので改革すべきことは山のようにありました
製造会社の責任者としては現場だけでなく、ビジネスモデルや製品戦略の見直しなども実践したのですが、この記事では現場強化の話を中心に進めます
先に述べたように、現場強化するにしても、いろんなことが今までの経験と異なるのでコミュニケーションが非常に難しいのですが、
やはり基本は同じです
まずは各オペレーションの基本です
・設計の基本
・製造の基本
・品質保証の基本
等々です
これらをしっかり伝えて改善活動を進めること
ここで、パターンに気づきました
①基本を理解しているマネジャーがいるが実践していない
②自己流(今のやり方)が正しいと信じて改善しようとしない
それぞれついて説明してみます
参考)マレーシアではもひとつのパターンがありました
③改善したくても方法がわからない
です。これは後日
①基本を理解しているマネジャーがいるが実践していない
なぜわかっているのに実行できないのか
これも二つ理由があると思いっています
(1)頭ではわかっているが、実践の仕方がわからない
(2)改善しようとしても、メンバーをうまくモチベートできない
(1)の場合は、トップ自ら現場に入り込んで指導するしかないですね
それをマネージャが見ることで、少しずつやり方を覚えていく
そしてやってみる
そして、結果がどうあれ、チャレンジしたことをほめる
この繰り返しでしょうか
(2)も、結局、トップが現場に入って一緒に実践することになります
そうすることによって、現場の人も「社長本気や(+_+)」と思い、推進力がでてきます
特に、ヒエラルキーが強い国や職場、私の赴任地のタイ、マレーシアは効果的です
「①基本を理解しているマネジャーがいるが実践していない」職場は、トップが動けば比較的改革がスムーズに実践できます
②自己流(今のやり方)が正しいと信じている
こちらは厄介
いくら基本を伝えても、わかろうとしません
特に、トップの考えを現場に伝えるべき部長クラス、さらに日本人(赴任者)がこのパターンは結構シンドイ
よその部門から来た私に好きなことを言われるのは気分の良いものではないことは想像つきます
ただ、基本を勉強できていないことは明らかです
この場合も二つのパターンがあって
(1)最後まで理解しあえない
(2)時間をかけてわかりあう
(1)は残念ながら異動してもらうしかないですね
基本を理解しない「ものづくり」は効率が悪すぎます
(2)はいろんなスキルを駆使してコミュケーションをとり、わかってもらうことでしょうか
具体的にはケースバイケースですが、最初の赴任地で学んだ
「伝えることは聞くことから」
これが一番重要かと
ローカルのプロを雇う
とはいっても、社長がいつも現場に入って指導するわけにもいきません
また、私も基本的な考え方は理解していても、現場改善のスキルとなればプロのコンサルタントにはかないません
ということで、ある程度改善に対する意識を持ち、行動ができるようになれば、少しお金はかかりますがコンサルを雇います
前回の赴任の時は日本人の社内コンサルにお願いしましたが、今回は日系の会社に所属するローカルコンサルタントに来てもらいました
これ結構有効でした
現地語で現場と話できるのは、現場の人間のモチベーションを上げることができます
偶然知り合うことができた日本人のコンサル会社の拠点長にお願いして、ローカル同士で実践することを有効性を教えてもらい、実施した次第です
人との出会いは大切です
改善マインドの醸成
以上はスキルの話でしたが、以前にも述べたように、現場力強化の両輪のもう一つ「改善マインドの醸成」こちらも重要です
これについては、次回に
まとめ
なんの製品知識も人間関係もない新しい赴任地での「現場力強化」の実践について書きました
言葉が通じない、ベースとなるものづくりの考え方が異なる等それなりの障害はありました
しかし、基本はやはり重要です
しっかり基本を伝えることで、わかってくれる人はいるものです
ただ、かなり頑張って現場強化に努めたのですが、この2回目の赴任先会社は本社の決定で結局閉鎖することになりました
「無念」
この言葉を初めて実感した経験でした
参考記事です
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