【商品開発にかかわる人へ】材料に付加価値をつけて商品にするのがメーカーの仕事

開発

メーカーの「稼ぐ」の基本は、

「お客様にとっては価値の低い材料・部品を価値あるものに変化させ、価値のある商品にする」

つまり「付加価値」を生み出すことです

商品開発における付加価値の意味を考えてみたいと思います

企業は何で稼ぐか

企業がどうやって稼ぐかは、突き詰めてしまえば、

「どれだけお客様に受け入れられる付加価値を生み出すことができるか」

で決まります

メーカーの場合で言えば、お客様にとってはほとんど価値のない原材料の形を変えること

(=生産工程によって)お客様にとって価値のあるものに変えることです

例を挙げると

こんなフィギュアを見てみましょう

このフィギュアの値段、2000円から3000円くらいでしょうか

しかし、元の材料はただのプラスチックです

こんな感じ

ペレットって言います

材料費、材料メーカーからの仕入れは100円前後ってとこでしょうか

この原料状態のプラスチック(ペレット)では一般のお客様にとって何の価値もありませんので100円でも誰も買ってくれません

当たり前ですね

これを工場で加工してフィギュアにすることにより数千円の価値になる

この工場により形を変えることを「付加価値を付ける」との意味になります

各メーカーの技術力によって、その付加価値が変わってきます

当然、この付加した価値が、お客様にとって高い価値であればあるほど、

高い価格で買ってもらうことができ、儲けることができる

当たり前っちゃ~当たり前の話ですが、

商品を開発することの本質を知る意味で理解してほしい重要な考え方です

この考え方を理解していない人は、価値を生むことを忘れて、

自己満足の商品や社内受けする商品を開発するミスをしてしまいがちです

メーカーを事例にしましたが、サービス業でも同じです

いかに、付加価値つけたサービスをお客さんに買ってもらうか

商売の基本ですね

原価からみた付加価値

付加価値の考え方をもう少し、数字で見てみます

どのメーカさんも、商品ごとに原価表は作成しているはずです。(どんぶりの場合もありますが・・・・・)

下の図はグラフの高さを販売価格として、その原価構成を極めて簡単に示したものです

原価表を単なる計算表と見ずに、「自分たちの仕事が生み出している価値を示す」ものと見てみたいと思います

先の説明でメーカーは「材料に付加価値を付けて販売」して儲ける、式で書くと

「材料」+「付加価値」⇒「商品」

こうなります

これを、金額で書くと、グラフにあるように

「材料費」+「粗利」=「販売価格」

という式になります

つまり、

「粗利」=「付加価値」 :「付加価値を付けることで粗利を稼ぐ」

と同じ意味になります

いかがでしょう。企業の存在意義が少しわかりやすくなってきません?

販売価格と材料費の差=粗利がその会社でつけることができる付加価値

しっかりと粗利を稼げる商品が重要

さらに、この粗利から経費を引いたものが利益になります(ちなみに材料費と合わせ原価と呼びます)

「粗利」-「経費」=「利益」

粗利より経費が増えると赤字になってしまいます。これまた

「当たり前のこと言うな!!」

って言われそうですが、これ極めて重要な考え方だと思っています

経費の中には、人件費、設備償却費、開発費・・・・・・いろんなものがあります

これらの「経費」の割合が「粗利」に対し多く利益は少ないということは、経費分の付加価値を生んでいない

もう少し具体的に言うと

人件費が高い=人件費がそれに見合う付加価値を生んでいない

設備償却が多い=設備投資に見合う付加価値を生んでいない

ってことになります

ですので、利益が十分でない場合、

「費用を減らせ」「人を減らせ」「設備投資を減らせ」と言う人いますが、利益を出すために間違ってはいませんが、これでは会社は成長しませんし、

もっと言うなら社会も豊かになれません

あるべき姿として、責任ある立場の人間は

「人件費に見合った付加価値を生み出せ」

「設備投資に見合った付加価値を生み出せ」

っていうのが、あるべき姿です

当然無駄な費用を減らすのは当たり前ですが、「経費削減」だけでは、従業員のモチベーションも上がりませんし、

なによりもお客さんに提供できる価値が上がりません

結局、安売りでしか物が売れなくなるので、デフレになります

今の、日本の状況ですね

経営者が「付加価値上げろ」と言う前に「費用を減らせ」を言い出すと、その会社結構ヤバいかもしれません

すでに多くの日本の会社はそうなっているかもしれません。

経費、特に固定費(人件費、開発費、設備償却費等)が多いことは必ずしも悪ではありません

固定費が付加価値を生まないことが最も悪

なのです

設備投資や開発投資をするとき、また、自分の仕事の値打ちを考える時、このことをしっかり自覚しましょう

皆さん自身も会社にとって固定費ですので、それ以上の価値を生まないと、あなたの仕事の値打ちがないってことです

経費以上にお客様に役立つ「価値」を生んでいるか、考えてください

利益を出すために

先ほどのグラフをベースに利益の出し方を考えてみましょう

実は利益を増やすには

  • 販売を増やす
  • 経費を減らす
  • 材料費を減らす

この3つの方法しかありません。極めて単純です

これらは、結局

「費用・材料費当たりの付加価値を上げる」

と同じ意味になります

個別商品原価をベースに語れば、

・販売を増やす=売価をあげる

 材料費を増やさず高い売価でも買ってもらえる付加価値の商品を開発すれば粗利は増えます

 さらに粗利を増やしても、経費を増やさなければ利益も増えます

 例えば人を増やさず、より価値の高いモノを開発し生産すれば利益は増えます

 同じ金型・設備に投資しても、より価値の高い商品を生み出す設計をすればいいわけです

・経費を減らす

 同じ付加価値=粗利なら、経費を減らして、同じ付加価値を生み出せば利益は増えます

 製造の生産性を向上させ、少ない人でも多くの生産量を確保できれば良いって意味です

 「人」を設備/金型投資に置き換えても同じです

 ただ、経費を減らして付加価値まで減らしては意味がありません

 例えば、開発人員減らして商品の性能を落とすとか、最もしてはいけないことですね

 でも、これいま日本の企業結構やっちゃってます

 リストラと言って、固定費だけ減らせばいいのですが、それ以上の付加価値も減らしている場合もあります

・材料費を減らす

 同じ機能=価値を出すのにより安い材料や部品を使えば、粗利=付加価値は増えます

 高い部品を使って高い性能を実現する!! これでは付加価値は増えません

 ここで技術開発をして、安い部品を使って高い性能を実現すれば利益は増えます

 VE(Value Engineering )ってやつですね

 高い部品や材料を使う場合は、それに見合うより高い価値を出すことが必要です

 そう言う意味では「材料費を減らす」ではなく、「材料費率を下げる」が正しいですね

付加価値を生み出すのは商品開発

以上、付加価値の意味について私なりの考えを述べてきました

そうしたら、この付加価値を生むのは社内のどこで生んでいくのか?

会社全体のすべての機能がこれに結びついているのですが、

消費財に関して言えばやはりメインは商品開発になると思います

  注)業種によって当然、異なります
    例えば、加工メーカーは当然、その加工技術が付加価値です

企画部門がお客様が受け入れてくれる高い価値を見つけ、

技術者がそれを実現できる商品をいかに低コストで提供できるか

これが原点です

開発が付加価値を付けることができないと、仕入先や販売ルートの人たちの付加価値を活かすことができません

適切な材料費で高い価値を生む

仕入先から安く仕入れろというのではありませんし

必要以上に高い材料を使って高い価値を生むのは、技術者の怠慢につながります

これを言っては、結構技術者に嫌われていますが・・・・・

基準はあくまでお客様にとっての「価値」です

今、使っている経費は相応のお客様にとっての「価値」を生み出しているのか

忘れてはいけないのが、自分自身も会社にとっては経費であること

価値を生み出すように経費をつかっているか考えてみてください

まとめ

付加価値について、ある意味、当たり前のことを話してきました

なぜこんな当たり前のことを書きたかったかと言うと、

大手メーカーの海外子会社の経営を長らくやっていく中で、

利益が出ない時、周りからすぐに、

「固定費を減らせ、材料費を減らせ」

と言われます

わたしは、この発言が不思議でなりません

経営者として、無駄な部分の削減は当然最優先で実施している内容で、周りから言われることではない

固定費が高い? 固定費が高いのが悪いのではなく、

 固定費が付加価値を生んでいないのが悪い

その付加価値を生むための技術力、リソースが無いことが問題であり、

そこでさらに固定費を減らすと、リソースが不足し、さらに価値を生めなくなり利益が出なくなることを理解してないからです

ですので、

利益が出ないときは、「付加価値を増やせ」

そのために何をしなければならないのか

逆に言えば、今のリソースでなぜ付加価値を生み出せていないのか

これを考えるのが経営者・マネージャーの仕事です

是非皆さん

「付加価値を生む」

ことを最優先に、仕事頑張りましょう

これが客様への役立ちにつながります

関連ブログです

企業の”成長よりも収益化優先”の考え方は成り立つのか?やっぱり”付加価値生み出し成長する”これが本質
皆さん、時々「成長より収益化」って方針を出されることありませんか?これを聞くたびに「そんなこと言うとるから、なんもチャレンジせんカルチャーが生まれ、おもんない会社になっていくねん」って思ってしまいます

コメント

タイトルとURLをコピーしました