商品開発って? 会社によって定義はバラバラ・・

開発

モノづくりの流れの中で、商品開発ってどこからどこまでを言うのか

商品開発って、会社・部署によって定義とか役割が違ってませんか?

他の会社や事業所に行くと商品開発の定義というか役割が異なっていて、話が食い違うことがよくあります

モノづくり関する一連の流れでどの範囲を「商品開発」とよぶのか、ネットでもいろんな人がいろんな定義していますが、

結局「モノづくりのプロセス」なかでの役割の話なので

その組織で共通認識できるようにすればいいんじゃないでしょうか

ですので、このブログ内での定義をしたいと思います

モノづくりの流れ

細かく書くと、とんでもなくややこしくなるので、少しシンプルに

  • 商品企画
  • 実用化研究・技術開発
  • 商品設計
  • 設計試作
  • 量産試作
  • 量産

ザクっとこんな流れでしょうか

(他にも、マーケティング企画、工程設計、品質評価、設備開発等々 ありますが複雑になるのでここでは省略)

私の経験の中では①~⑥のなかで②~⑤+⑥の初期流動までを「商品開発」と呼びたい

つまり、商品企画以降商品が量産されるまでのすべてのプロセスが商品開発

会社によっては、③と④を開発と呼ぶ会社もあれば、②も含める場合、場合によっては③のみを商品開発と考える人もいます

私としては、量産をして初期の品質を確保しするまでしっかりと商品開発部門=設計者が責任を持つことがあるべき姿として考えます

会社によっては商品開発部門を2つに分けで②③を担当する部署と④⑤を担当する部署に分ける場合もあります

商品企画と商品開発

次に、よく似たこの言葉の違いをクリアにしましょう

めっちゃ簡単にいいますと

  • 商品企画:作るべき商品のイメージやアイデアをだすこ
  • 商品開発:そのイメージやアイデアを量産できる形にすること

と考えましょう

それでは、それぞれの言葉の詳細と各ステップでのポイントを説明します

商品企画

なんとなくイメージ持っていると思いますが、

その事業を成功させるために、お客様に提供する商品やサービスを考え、提案することです

具体的方法をいいだすと、本が1冊かけますので、そこは置いといて、

私が思う商品企画のあるべき姿を一つだけ

技術、コスト、マーケティングの限界を意識する

いくらお客様のニーズがあると言っても、量産できないものを企画しては意味ないです

めっちゃ高額な商品、世の中に認知してもらう手段がない商品やサービスを企画しても意味ないですね

つまり、4P(Price,Place,Prpducts、Promotion)を考えた企画をすることが大原則

これを忘れた商品企画する人が結構いてて、技術者と無意味にモメてます

「コストや、技術の限界考えてたら自由な発想が妨げられる」

って言う人もいます。 ハイ、その通り

私が言いたいのは、商品企画としての最終アウトプットであって、その過程では、制約を外して自由に考えることは当然重要です

誤解なきよう

極端に言えば、薄毛に悩むオジサンに 「どんなヘアケア器具ほしい」 と聞いて 「毛が生えるブラシ」 て回答もらって

技術者に「毛が生えるブラシ開発して」 って依頼する

こんな商品企画ってどぉ? 誰でもできるわな

意識しないうちにこんな商品企画してませんか?

「毛が生えるブラシ」が事業戦略上必要ならば、その技術の限界を調査し、今の技術でどのレベルまでなら可能か

そのレベルで、お客様は満足してくれるのか? ニーズはあるのか? 収益性はあるのか? 等々を関係者とトコトンつめて、初めて商品企画って言えるでしょう

商品企画については、この記事ではここまで

実用化研究・技術開発

お客様が受け入れてくれるニーズを、技術的に達成可能か? またその技術を商品として作れるのかを検証する段階です

商品企画との連携は極めて重要な技術プロセス

「商品企画完了⇛技術開発」

ではありません

一緒に進めるプロセスですね

次の商品設計と同じ部署でする場合もあります。個人的には役割が違うので分けたほうが良いように感じています

このプロセスで、最も大事なのが技術的可能性を見極めることに加えて

「必要な性能・仕様を明確にする」

ことです。

なんとなく、

「商品企画の求める性能を達成できそうだ」

これでは開発すすみません。仮に進めたとしても、途中で混乱するか、最悪お客さんに迷惑かけることになります。

ここをぼや~としたイメージで進めている人、多いです

例えば「炊飯器」

お客様の要求は「おいしいご飯が炊ける」です

決して「柔らかさ〇〇 糖度〇〇 ツヤ〇〇 温度〇〇 なご飯を炊ける炊飯器が欲しい」とは言ってくれません

この、お客様の「おいしいご飯が炊ける」 という言葉を、いかに定量的に、定量化が難しければ感覚的にでも、どのレベルを達成すればよいのかを明確します

これを、おろそかにすると、開発が進むにつれ、何を目指していたのか分からなくなり、中途半端な商品の出来上がりになります

開発が進んでいた時、「開発当初からこんな味だった?」 って誰かが言い出し、担当は開発進めたいから「これでOK」って言うし、品質保証は「ダメだ」という。

判断基準が明確になっていなから、こうなっちゃうんですね。

これらの性能・仕様を明確にして、それを達成する技術手段を生み出すのが「技術開発」「実用化研究」の段階と呼びましょう

商品設計

この活動はボリュームがありますね

別記事で詳細書きたいと思います

主な業務は

  • デザインを含め商品仕様を決める
  • 目標値を決める
  • 目標値を達成するための「機能設計」をする
  • 変化点管理
  • 図面
  • 製造部門との調整

設計試作・技術試作

設計をした後、金型を作成し、部品を調達しある程度の数量の試作品を作ります

目的は「設計検証」

「設計の狙い通りの性能が本当にでるのか?」

を実際の試作品でバラツキ含めて検証します

狙い通りでなければ、設計変更、もしくは金型修正を行わなければなりません

場合によっては目標値そのものを変える必要もあります

設計検証を行い、目標値をすべて達成できれば、量産試作へ移行です

量産試作

建前上、この時点では目標値は達成できているので「量産試作」の目的は性能確認ではなく、「生産性確認」

狙い通りの工数で生産できるか、不良率は?組み立てのバラツキは?設備不具合は? の確認が目的

とはいえ、なかなかこの時点でも性能目標が達成できないことも多いので、当然開発担当者も目標達成のための対応をしなければならない

製造的対応で問題なければよいが、設計を変更する必要がある場合も多く、この段階も商品開発の一部と言えるでしょう

量産

市場に出す商品を生産する段階です

ここまでくれば、開発ではなく「製造」と考えるのが一般的ですが、現実は量産をしても量産試作では出なかった問題が出るのが普通です

特に、立ち上げ初期の品質は安定しないことが多く、これをしっかり管理し改善しなければなりません

「初期流動管理」って言います

この時点でも、対策に設計変更が必要な場合も多く、開発担当者は常に製造に張り付いていなければなりません

またまた私の話ですが、海外工場で商品を立ち上げで現地に出張したとき

「製造不良が○%以下になるまで帰国許さず」といつも言われていました

やはり「良い品質は、良い設計から」です。 その上で、図面通(設計通り)の生産をするのが製造の役割となります

まとめ

「商品開発」の意味を説明してきました

「商品企画」から出てきた商品仕様を満たすための仕様を決め、機能ごとの目標値を設定し、設計をした上で安定的な量産につなげるのが、「商品開発」です

「図面・仕様書ができたら、あとは製造」ではないですね

これでは設計者は育ちません

ではまた

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