研修講師の仕事で感じた課題設定の難しさ

組織能力強化

会社を退職し、個人事業主として中小企業診断士の活動を始めようと準備しています

中小企業診断士としての仕事はまだ得られていませんが、先日、知人の紹介で海外生産拠点の製造責任者向け研修の講師を務める機会をいただき、退職後初めての仕事に行ってきました

研修当日、社長時代に経験してきた光景と、まったく同じ場面に遭遇することになりました

現場を預かる立場の方には、ぜひ参考にしていただき、マネジメントのヒントになれば嬉しいです

研修講師の依頼

どういう経緯でこの仕事をいただけたかというと、以前、社外の研修会で知り合った方が、私が会社を辞めてフリーランスになると聞きつけ、連絡をくれたのがきっかけです

その方はものづくり人材の育成部門の責任者をされており、私のような海外拠点での経営経験が豊富な人材を探していたようです

元来、人を教えることは得意だと感じており、実際に社長をしていた時も、時間とエネルギーの大半を従業員の教育・育成に注いでいました

非常にありがたいオファーだったので、迷わず了解~最初の研修に至った次第です

人との縁、本当に大切です

研修の内容

今回依頼を受けた研修は、次世代の拠点責任者を育てるべく、「経営者の視点をもって日々の業務を推進する能力」を高めることを目的としています

全5回シリーズの初回です

基本的な知識のレクチャーを行いながら、最終アウトプットとして受講者が会社トップへ経営改善提案を行います

研修のフローは以下の通りです。

①現状分析⇒SWOT分析

②経営トップの方針のバックグラウンドを理解

③方針を達成するための問題点の把握

④問題を取り除くための課題・KPI、目標値を設定

⑤課題解決のための方策立案と計画策定

今回の初回は、上記①~⑤の方法をレクチャーしてきました

次回以降は、受講者にテーマ設定と実行計画を作成してもらい、私がコーチングしながら経営者視点での業務推進意識を高めていく予定です

コンテンツの作成

実は、研修先にはオリジナルの資料があり、それを使ってほしいとのことでした

しかし、ここで最初の悩みが発生

資料の内容自体は素晴らしいもので、私の考え方とも一致して違和感なく研修できる内容でした

ただ、困ったのが「言葉の定義」です。

会社改革のための活動計画を立案するにあたって「問題」「課題」「対策」「活動」「タスク」「テーマ」……いろんな単語が登場しますが、それぞれの定義があいまいで、相互の関係もよくわからない

この問題は、私が新しい拠点に赴任するたびに悩まされてきたことです

言葉の定義の「わかってそうであやふや」問題は結構重要なことと感じて、社長時代、定義の明確化をして丁寧に説明してきました

それが、「研修」を担当する部門で明確に定義されておらず、根深い問題なんだなぁと感じました

多くの人が問題と感じていないから、こうなるのだとは思いますが・・・

この問題について私なりの結論を出して6年前に書いたブログがこちらです

【組織能力を向上させる】事業の成長を目指すための適切な課題設定ができていますか
現場の組織能力を高め、事業の成長を目指すためには、課題を設定し業務を改善することが必要です。現場は日々のオペレーションに追われて、成長に向けた「設定型」課題するのが難しい場合があります。それを防ぐためには経営トップの方針と適切な目標(KPI)必要です

今回の研修コンテンツの内容自体は私の考えと一致していたので、言葉の定義を明確にする形に書き直させていただきました

結構、骨が折れますね

さらに、英語化という作業も

いちばん悩んだのは「課題」の翻訳です

オリジナルの資料では「Issue」と「Task」が混在していました

以前のブログでも書いたのですが、私は「Challenge」を使うようにしています

「課題」を「チャレンジ」という言葉に変え、現場の成長を感じるようになりました
会社の現場力を上げるために「課題」を設定しPDCAを廻すことに取り組んでいます。この活動を行うとき、「課題」の意味のの食い違いでなかなか意図を理解してもらえないことがあります。このとき「課題」を「チャレンジ」と言う言葉に変えることで従業員の理解が大きく進みます。

理由は、「Issue」はどうしても「問題点」ととらえられがちで、現状の問題を列挙するだけで終わってしまう場合が多い

「Task」は日常業務の延長でのアクションになりがち

一方「Challenge」という言葉を使うと、今までとは異なる、新しい取り組みを自然と考えるようになる

そういう経験をしてきました

今回は最終的に「Issue」で進めることになったので、「Issue」とは「問題を解決・取り除くためのChallengingな取り組み」と定義して説明することにしました

講義開始

準備を終え、さぁ研修会です

今回は上記①~⑤の流れを説明しながら、途中で「トップ方針と自部門の取り組みの関係」「昨年度の課題レビューと今年取り組むべき課題」について、各自が現在の立場で説明する時間を設けました

ここでも、社長時代に経験してきたのと、同じ状況に遭遇することになりました

(1)「社長方針は何ですか?」

すぐに回答できない

現場の課長クラスではやむを得ない部分もあります(私もそうでしたし)

しかし、社長が「アジアの市場を拡大するぞ」と方針を出しているのに「欧州向けの商品を開発します」では、経営としておかしい

ここは抑えたいポイントです

(2)KPIとその結果しか語れない

社長方針の確認でも、昨年のレビューでも、KPIとその結果しか出てこない

これも、さんざん経験してきました。

「社長方針 利益率10%」⇒「現場方針 生産性10%改善」以上!!!!

こんな感じ。

「いや、ちょっと待って」

利益率10%にするために、社長はどんな方針を打ち出したの? 

部下に「利益10%にしろ!!」とだけ指示して終わり?

もう少し、明確な方向性があったはずでは?

例えば「マルチ生産体制を構築し、顧客需要への柔軟な対応を実現する」のような、方針実現のための活動の方向性が必要です

実際に多くの社長はその方向性を出しているはずです

(3)活動の中身が語れない

昨年のレビューを聞いても「KPI目標〇〇、結果●●」以上!!

イヤイヤ。

KPIはあくまで「活動の成果を測る指標」であって、「活動そのもの」じゃない

課題を解決するために、どんな活動をしたの? 

うまくいったの? 

うまくいかなかったとしたら原因は何? 

外部要因でたまたまKPIを達成できたとして、組織として本当にそれでいいの??

今まで経験してきたことなので、それほど驚きはしなかったのですが……

これからの5回の指導で果たして理解してもらえるのか、気合入れてます😅😤

まとめ

以上、研修講師の立場で感じた、現場における課題設定の問題点を書き出してみました

次回、彼らがどんなアウトプットを持ってくるのか楽しみではありますが、覚悟して向かわないといけないです

これは現場を預かる立場であれば、きっと誰もが経験することのはずです😁

ぜひ、「課題」の定義を言葉レベルで明確にし、KPIだけでなく「どんな活動をしたか」をしっかり評価できる組織になってほしいです

それだけで、現場は確実に強くなります

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