【工場閉鎖】工場閉鎖で感じたこと(2)組合委員長の驚きの要求

ものづくりの話

海外赴任先の海外連結子会社を閉鎖した経験があります

こんな仕事はできるならしたくない仕事ですが、時代とともに環境が変化するなか、やむをを得ない決断をしなければならない時はあります

その時の経験を備忘的に書き留めています

第2回目、労働組合の委員長の驚きの要求について書いてみたいと思います

組合との関係

私の担当していた会社と労働組合との関係は、決して良好な関係ではありませんでした

日本のように、「労使協調で会社を成長させていこう」みたいな考えはありません

「いかに会社から取れるものを取るか」を念頭に、毎年激しい組合との交渉を行っていました

ですので、会社を閉めることを発表する時、組合の幹部が騒いで収集が付かなくなる、

そして、工場閉鎖後に別工場で生産する準備中にお客様に届ける製品の「作り溜め」ができなることを一番恐れていました

結果として、幸い、発表後、恐れていた大きな問題は発生しませんでした
(その背景はまた別に機会に書いてみたいと思います)

工場閉鎖発表時の組合幹部たちとの会話

とはいえ、閉鎖発表時組合との話し合いは少々もめました

組合幹部は会社側を全く信用していません

それは、長年激しい労使交渉のなかで会社側が組合に良い感情を持っていないことは事実で、それでお互い信頼できるはずもありません

会社側がそのような感情を持つのも当然で、交渉時、組合側の不当な要求を会社側が拒否したら、お客様への納品など全く無視して、

・長期の残業拒否

・スローダウン(わざと作業をゆっくりする)

・会社前の道路で鳴り物を使って大騒ぎしながら会社に対するあることないこと言いふらす

・ロックダウンになったこともあります

「労使協調」には程遠い状態です

このような背景の中、組合側はこの会社閉鎖を「組合外し」と考えたようです

「現状の会社を閉鎖し、改めて同じ土地に別の会社を設立し、今の組合を排除する」

これが会社側の「閉鎖の目的」というわけです

そんなに組合の排除を恐れるなら、「もっと労使協調を普段から心がけんかい」って思うのですが・・・

また、会社としては全くそんな考えはなく、必要なコストを考えるとあり得ない考えなのですが、

「あああ~~、こんな風に考えるんだ~~」

と、自分の考えの幅の狭さを反省もしました

組合委員長の驚くべき要求

とはいえ、組合幹部へ丁寧に説明し、何とか納得してもらいました

そして、会社の閉鎖の発表時、全従業員に対し、退職の条件(退職金等)に合意し、撤退作業に協力する旨の書類にサインすることをお願いし、1名を除いて全員が期日までにサインをし提出してくれました

この提出しなかった1名が組合の委員長です

早くサインするように促したのですが、「考えることがある」と言って提出しようとしません

会社としては、提出しなければ退職金を支払わないですし、すでにほかの組合幹部、組合員が同意している中一人では何もできないので

「いずれは出すやろ~~」

と考えていました

ところが、工場の生産を終える1ヶ月前になり

なんと

「オレの退職金を増やせ、そうでないとサインしない」

と要求してきました(*_*;(*_*;(*_*;(*_*;(*_*;

コレにはビックリでしたが、さらに理由を聞いて(*_*;

「なぜ、君だけ増やさないといけないのか?」

「ほしいから」

「なぜほしい?」

「委員長だから」

「ほかの組合員はすでに納得してサインしてるのに委員長である自分だけが要求するのは、組合員に対して申し訳なく思わないのか?」

「組合員は勝手にサインしたからオレは知らない」

さすがに、私は腹が立ち、

「恥を知れ!!!恥ずかしいと思わんのか!!!」

と思わず言ったのですが、通訳が意味が分からんと通訳してくれませんでした(´;ω;`)

と言うことで、私は明確に要求を却下し、委員長は

「裁判所に訴えます、法廷で会いましょう」

と、捨て台詞を残して会議室を出ていきました

要求後の対応

今回の閉鎖の中で沢山の不愉快な出来事があったのですが、この時の会話は、最も不愉快なできごとでした

委員長は裁判に訴えると言っていましたが、会社側もしっかり調べて、裁判されても負けることはない確信を得てはいたのですが、一番困るのが裁判が長引き会社清算業務に影響出ることでした

ちなみに、この国では「労働裁判所」なるものがあって、労働者は無料で訴えることができます

ですので、委員長もこういうことを平気でしてきたわけです

労働争議のコンサルタントや弁護士にも意見を聞きながら、対応を検討し、結論

「裁判して、勝てる可能性はないし、もし負けたら、法定の退職金しかもらえんで、それでええんか・・」
(退職金は法定よりかなり多い額を渡すことで従業員と合意していました)

の方向性で話をすることにしました

しかし、会社側が彼と話をしても「振り上げ拳」を下すことはないと考え、組合の副委員長、書記長と話してに彼らから説得してもらうことにしました

副委員長、書記長も、委員長の要求は不当と考えていたようで、会社側の依頼をうけてくれました

いろいろありましたが、さすがに法定退職金しかもらえないのはツラいと判断したようで、退職日の2日前に書類は書記長経由で提出され、この問題は無事解決されました

まとめ

従来から、組合の要求は論理的な理由はなく、「ほしいから」を理由に要求する状況でした

今回の委員長も結局その理由で要求してきたわけで、この子供的発想に驚いてしまいました

とはいえ、人それぞれでして、自分の常識が相手の常識ではないことはよくあることで、それを改めて知ることができた出来事でした

以上

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