前回、AIを先生ではなく壁打ち相手にする使い方について書きました。
今回は、実際にやってみて感じている、正直な悩みについて書きたいと思います。
前回記事です。
https://www.kevin-dynamite.com/ai-kabeuchi/
以前より、時間がかかるようになった
以前は、自分の考察をベースに、そのまま実行する。
間に上司の判断が入ることもありましたが、基本的にはシンプルな流れでした。
AIとの壁打ちを取り入れてから、この流れに一段階増えました。
自分の仮説をAIにぶつけ、検証してもらう。
当然、その分の時間は増えます。
さらに、AIの指摘と自分の考えが一致しなければ、そこでもう一往復、二往復とやり取りが続きます。
時間は確実に増える一方です。
増えた時間は、無駄ではなく投資
たとえば「最近目標数量の生産ができない」と言う問題が発生し、現場でパッと見て、「新人が多く入って、サイクルタイムが長くなっているせいだろう」と考え、新人教育の強化に取り組む。
しかし、強化を実施しても効果が上がらない。
この理由は、
強化の仕方が間違っているか
原因が別にあるか
のどちらかです。
ここで、もし、事前にデータと自分の仮説をAIに入れて壁打ちしていたらどうでしょう
「サイクルタイムは変わっていません。工程が止まっている時間が長くなています。特に切り替え時間が長いです」
と指摘される。
実際、稼働率のデータを見ると、稼働率は低下し、作業自体は標準通りのサイクルタイムで作業完了。
結局、稼働率の低下の原因はトラブルでなく、切り替え回数が多いための切り替えロス時間が増加。
こんな場合がありえます。
新人が多い=サイクルタイムが長くなっている=生産が上がらない
と、先入観を持って対策を考えた事例です。
背景として、切り替え時間は「かかって当たり前」と思っていて、改善の対象と考えていないケースはあります。
見落としていた視点、詰めの甘かった仮説、そういうものが、壁打ちを通すと減っていく。
これが、増えた時間に見合う対価だと感じています。
なので、増えた時間を単純に「無駄」とは思っていません。完成度を上げるため、つまりやり直しのコストを減らすための投資だと捉えています。
だからこそ、全部に使う必要はない
投資だからこそ、使う場面を選ぶ必要があります。
小さな判断まで一つ一つ壁打ちしていたら、時間はいくらあっても足りません。
不良が多い工程を見て、単純に作業そのものが難しく、誰がやってもミスが出やすい内容とわかる場合、
これは、データを見るまでもなく、その場で対策に入っていいケースです
むしろ、そこで立ち止まってAIと壁打ちすることが、機会損失になる場合もあります。
見極めの基準:やり直しが効くかどうか
私は、判断のリスクの大きさ、特に「やり直しが効くかどうか」で、時間のかけ方を変えるようにしています。
小さく試してみて、ダメならすぐ元に戻せる判断は、さっさと実行した方がいいと思います。
壁打ちに時間をかける方が、むしろ機会損失です。
一方、後戻りが効かない判断、影響範囲が広い判断は、時間をかけてでも壁打ちする価値があると思います。
先の事例で言えば、「新人教育を強化する」という判断は、教育内容の見直しや工数も伴うため、簡単にやり直せるものではありません。
工程改善で言えば、工具の配置を少し変えてみる、くらいの話であれば試行錯誤で十分です。
でも、ライン設計や設備投資、さらに、仕事の仕組みを変えるとか、後から簡単にはやり直せない判断であれば、その完成度の差が、後になって大きく効いてきます。
シリーズを振り返って
今回で、4回にわたって書いてきた「考える現場づくり」のシリーズは一区切りとします。
データを見ても手が動かない現場から始まり、
その感覚が数字にも裏付けられていること、
AIを先生ではなく壁打ち相手にする使い方、
そして今回、その壁打ちにかける時間をどう見極めるか、
という話まで書いてきました。
正直、まだ結論が出ていない部分も多いです。
時間のかけ方の基準にしても、私自身、まだ手探りの部分があります。
ただ、考える力を手放さずにAIと付き合っていく、という軸だけは、今後も持ち続けたいと思っています。
このテーマは、今後も現場で試しながら、また書いていきたいと思います。


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